クモ膜下出血
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くも膜下出血の予防
今までに経験したことのないような突然の激しい頭痛。これが「くも膜下出血」の症状です。あたかも後頭部をハンマーで殴られたような強い痛みです。何月何日の何時何分と発症の時間が特定できるほど強烈な頭痛に襲われ、続いて吐き気、嘔吐、けいれん、手足の麻痺、意識が混濁するなどの症状が出てきます。男女を問わず、40~50歳の働き盛りの方を襲うこともこの病気の特徴です。強烈な頭痛が何時間も続いて苦しんでいる、これだけの症状でくも膜下出血といって間違いないでしょう。単に風邪や高血圧ではあり得ません。
頭の中には、くも膜という薄いオブラートのような膜が脳の表面を覆っており、くも膜下出血とは、くも膜と脳との間に動脈が切れて出血をきたす病気です。動脈の壁の弱い部分が風船のように膨らみはじめ(これを脳動脈瘤といいます)40~50歳くらいのある日、突然破けてしまいます。脳動脈瘤は、実はなんと生まれつきの病気なのです。
そして、この年代の100人に1人が脳動脈瘤を持っています。破けるまでは症状が全くないために、自分では何も知らずにいます。つまり100人に1人がいつ爆発するかもしれない爆弾を頭の中に抱えているのです。血圧が高い、低いに関係なく、脳動脈瘤を持っている人ならだれでも、24時間いつでも破裂の危険にさらされています。昨日まで元気で病気知らずだった人がある日突然...。
くも膜下出血の大半は即死です。それでは、くも膜下出血になったら、あきらめるほかないのでしょうか?生まれつきの病気なのに、早期発見も予防法もないのでしょうか?
くも膜下出血の早期発見と予防法の一つに脳ドックがあります。MRIで脳動脈を写し、脳動脈瘤の有無を確認する方法です。これにより脳動脈瘤が破裂前に発見され、くも膜下出血を防いでいます。では、くも膜下出血を起こしてしまった方が助かる手はないのでしょうか?無事生還させる方法が一つだけあります。
それは、日頃の血圧管理です。最低血圧(低いほうの血圧)を低く保っていた人の大多数は、何の後遺症もなく見事に社会復帰をしています。日頃の最低血圧を80以下に抑える一番の方法は塩分制限です。あせらず、ゆっくり、まずは一年がかりで下げるつもりで取り組んでみましょう。
あっ、くも膜下出血!大変!脳動脈瘤という爆発物の導火線に火がつきました。いや、くも膜下出血になる前から、皆さん自身での『最低血圧を下げておく』という大切な治療が始まっているのです。それが「くも膜下出血」の治療最前線なのです。